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ミントウェーブはなぜ自社でシンクライアントOSを開発したのか - LinuxベースOS「Basilware」20年の歩みと開発秘話-

 エンドポイントセキュリティ 

公開日:2026.7.6 最終更新日:2026.7.6

ミントウェーブはなぜ自社でシンクライアントOSを開発したのか - LinuxベースOS「Basilware」20年の歩みと開発秘話-

ミントウェーブ プロモーション担当 S.I. です。


  • 端末起動時間の高速化
  • 描画パフォーマンスの向上
  • 多様なハードウェアへの柔軟な対応
  • セキュリティと管理性の両立


これらは、シンクライアント端末開発において常に付きまとう課題です。


当社ではこれら課題を打破するため、2006年にLinuxベースのシンクライアントOS「Basilware(バジルウェア)」を自社開発し、現在まで提供を続けております。今回は、Basilwareの開発背景と、その進化の歩みについてご紹介します。


なぜ自社でOSを開発したのか─シンクライアントOSに求められる性能と限界

Basilwareが誕生する前の2000年代前半、当社シンクライアント端末のOSはWindows CEやWindows XP Embeddedが主流でしたが、それぞれに課題が存在しました。


  • Windows CE

軽量である一方、描画性能に制約があり、ユーザーにストレスを与える場面がありました。

また、対応可能なデバイスドライバが限られており、多様なハードウェアへの展開が難しいという課題もありました。


  • Windows XP Embedded

対応可能なデバイスドライバは豊富である一方、CPUやメモリなどハードウェア要件が高く、OSライセンスコストも含め製品全体が高価になってしまうという側面がありました。


こうした背景から、「軽量・高速でありながら柔軟に展開できるシンクライアントOS」を目指し、自社OS Basilwareの開発がスタートしました。


Basilwareの開発─ セキュリティと拡張性を見据えたLinuxという選択

Basilwareは、柔軟性と拡張性を考慮し、ベースにLinuxを採用しました。


Linuxは、豊富なデバイスドライバ資産を活用できる点や、多様なハードウェアへの対応が可能である点において大きな優位性があります。


加えて、当時はWindowsを対象としたウィルスの脅威が増加していた時期でもあり、Windowsベースと比較してウィルス感染の危険性を極めて低く抑えることができ、セキュリティ面の強化に繋がる点もポイントとなりました。


XMiNTから続く技術の系譜 ─ 自社OS開発を支えた技術基盤

当社では高岳製作所の一部門であった1990年より、X Window端末「XMiNTシリーズ」の開発・販売を手掛けてきました。


その源流は、1977年にDEC社とOEM契約を締結し、UNIX OSを搭載したVAXの販売を開始したことに遡ります。

1982年には漢字CRTターミナル「KJ-100」の開発も行い、早くからUNIX環境に関する技術を蓄積してきました。


XMiNTでは、ハードウェアからソフトウェアまで設計・開発を行い、CPUにはMC68030、SPARC Lite、R3000を採用、BSD系の独自OSを搭載していました。


こうしたUNIX/X Window技術への長年の蓄積が、LinuxをベースとしたシンクライアントOSの開発における基盤となり、大きな障壁はなく、開発を進めることができました。


Basilware開発エピソード─ Xサーバ改修による描画性能向上

Basilware誕生時(2006年時点)での基本構造は、図の通りです。

Rdesktop

(v1.4.1)

ICA

(v9.15)

GO-Global

(v3.1.13504)

Xサーバ(X11R6.8.3)

ファイルシステム

カーネル/デバイスドライバ

 図.2006年リリース時のBasilware基本構造


Linux OSにおいて画面描画を担うXサーバは、もともと高い描画性能を持ち、CADなどのアプリケーションでも十分に利用できるレベルにありました。


しかし、シンクライアントとして利用する場合においては、描画が正しく行われないといった事象が確認されました。

また、接続に使用するクライアント(RDP)との組み合わせにおいても動作上の問題が発生していました。


こうした課題に対し、当社ではXサーバおよび関連部分についてソースレベルでの改修を実施し、描画性能を維持したまま、正確な描画と安定した動作を実現しました。


参考までに、技術論文誌 高岳レビュー171号(2006年12月発行)に記載されていた描画性能測定結果を転記します。


 表.描画性能測定結果(RDP接続時)

ハードウェア

OS

GDI

D2D

OGL

MiNT-ACC mini-30U

Basilware

140

1487

235

MiNT-ACC mini-30C

WindowsCE5.0

47

891

142

※上記は、同じハードウェア上でBasilwareを搭載した製品(MiNT-ACC mini-30U)とWindowsCEを搭載した製品(MiNT-ACC mini-30C)にてRDP接続した際の描画性能比較です。Basilware搭載製品の方が数値が大きく、描画性能が高いことが見て取れます。

お客様にも評価された性能と柔軟性

開発完了後は、「MiNT-ACC mini-30C」を利用中のお客様を中心にBasilwareの評価を実施いただき、その結果、同じハードウェアのままBasilwareへのOS移行が進みました。その一部をご紹介します。


  • 製造業(開発部門、約70台)

ブレードPC環境への接続端末として利用されていました。

移行により、描画パフォーマンスの向上と管理ツールの活用が可能になりました。


  • 自治体(業務用端末)

移行により、802.1x認証を導入したセキュリティ強化に加え、外付け無線LANアダプタ等の周辺機器へのニーズに対応。

さらに、容易な操作性により、職員のITリテラシーに依存しない運用も実現しました。


  • 製造業(生産現場)

タッチパネルやバーコードリーダなどの周辺デバイスが活用可能となり、工程入力が容易になったのに加え、管理ツールによる集中管理も可能となりました。


既存資産を活かしながら、性能・管理性・拡張性を向上できた点が評価されています。


Basilware製品のあゆみ─ デスクトップ、ノート型からUSBまで製品展開の軌跡

2006年のBasilware誕生から現在に至るまでの約20年間で、デスクトップ型10機種以上、ノート型20機種以上、液晶一体型2機種、USB型2機種と数多くのBasilware搭載シンクライアントを市場に送り出してきました。


ここでは、コーポレートサイトの沿革ページの記載に沿って、Basilware製品のあゆみの一部を振り返ってみたいと思います。

2006年

初のBasilware搭載シンクライアント「MiNT-ACC mini-30U」販売

「MiNT-ACC mini-30U」を皮切りに、ノート型、液晶一体型へと展開

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図.2006~2007年に販売していたBasilware搭載シンクライアント端末

(左から、MiNT-ACC mini-30U, MiNT-ACC Lite-50U, Basilnote-UL, Lenezza, MiNT-ACC F1-30UT)

デスクトップ型8機種

・MiNT-ACC mini-30U

・MiNT-ACC Lite-50U

・Lenezza

・MiNT-ACC cute-30U

・MiNT-ACC cute-40U

・MiNT-ACC cute-40Ub

・MiNT-ACC cute-50Ub

・MiNT-ACC BX-1500U


ノート型5機種

・Basilnote-UL

・MiNT-ACC Note HY/U

・MiNT-ACC Note HV/U

・MiNT-ACC Note EA

・MiNT-ACC Note EB


液晶一体型2機種

・MiNT-ACC F1-30UT

・MiNT-ACC F2-80


USB型1機種

・ゆびくら

2013年

USBシンクライアント「ゆびくら」を販売

USBブートで場所や端末に依存しない利用環境を実現するとともに、VMware Horizon Viewに対応

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2015年

OSを刷新。性能と拡張性を強化した新OS「Basilware64」を搭載した「MiNT-ACC E210」「MiNT-ACC Note 553」販売

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デスクトップ型3機種

・MiNT-ACC E210

・MiNT-ACC BX500

・MiNT-ACC BX600


ノート型17機種

(15.6型液晶)

・MiNT-ACC Note 553

・MiNT-ACC Note B45

・MiNT-ACC Note B45J

・MiNT-ACC Note B45/G8

・MiNT-ACC Note B65

・MiNT-ACC Note BJ65

・MiNT-ACC Note B65K

・MiNT-ACC Note B45L

・MiNT-ACC Note B55L

・MiNT-ACC Note B55M


(13.3型液晶)

・MiNT-ACC Note R73

・MiNT-ACC Note R73J

・MiNT-ACC Note G83

・MiNT-ACC Note S73L

・MiNT-ACC Note G83K

・MiNT-ACC Note G83L

・MiNT-ACC Note G83M


USB型1機種

・ゆびくらwith



2017年

DDS社と共同開発した指紋認証機能を搭載したモデルを展開


USBシンクライアント「ゆびくらwith」を販売開始

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2025年

Basilware64を搭載した「MiNT-ACC Note G83M」が、国内初「Accops Ready Device Certification」を取得

主要なシンクライアント方式[Microsoft、Citrix、Omnissa、Accops]に対応

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<実装機能・対応周辺機器>

基本機能

運用・セキュリティ

周辺機器

  • 接続先設定機能(接続マネージャ)
  • システム設定機能<管理者モードによる操作制限可>
  • 専用管理ツールによる集中管理
  • ネットワークブート対応
  • IEEE802.1x認証の標準サポート
  • 認証デバイス対応(二要素認証対応)
  • VPN対応
  • USBデバイス制御機能
  • 起動時認証機能
  • かざすだけログイン
  • ゼロコンフィグモード
  • 無線LANアダプタ対応
  • タッチパネルモニタ対応
  • 通信カード対応
  • Bluetoothデバイス対応

※過去製品における機能や対応内容が含まれており、現行製品では異なる場合があります。

さいごに

今回のコラム執筆にあたり、複数の開発者へヒアリングを行ったのですが、その中で、ある開発者の次の言葉が特に印象に残りました。


「当社のシンクライアント開発における強みは、お客様のご要望やご意見に耳を傾け、不具合修正や機能追加を継続して行うことで蓄積してきた技術にある」


この言葉から、当社のLinux開発の本質をあらためて実感しています。


なお、お客様と二人三脚で取り組んできた機能追加や要望対応など、本来であればご紹介したいエピソードも数多くありましたが、今回はコラムのボリュームの都合上、泣く泣く割愛しています。


そうした開発エピソードについても、今後の機会にご紹介していきたいと考えています。

関連情報

Basilwareに関連し、東光高岳技報(東光高岳グループの技術論文誌)に寄稿した製品紹介をご覧いただけます。詳細は以下よりご確認ください。


東光高岳技報

https://www.tktk.co.jp/report/

※当社が寄稿した「シンクライアント新製品と管理ツールSientの紹介」はNo.6(2019)に掲載されています


Basilware搭載シンクライアント端末 ならびに 管理ツールの製品情報は、以下でご覧いただけます。

▶製品(ICTソリューション)

※2026年7月現在のラインアップは、シンクライアント端末3機種、USB型1機種、管理ツールとなります


キーワード  組込Linux、自社開発、シンクライアントOS、Basilware、Linux、Xサーバ


この記事を書いた人


S.I.(ミントウェーブ プロモーション担当)

1999年高岳製作所(ミントウェーブの前身)に入社。

シンクライアント製品の検証、SE、営業を経て、現在はプロモーション担当として全製品の情報発信に携わっています。

SE、営業時代は、パートナー向けメルマガを約6年半にわたり担当し、製品情報や事例の紹介などを行ってきました。

最近は、生成AIを活用した「より分かりやすく素早い情報発信」にも取り組んでいます。